TO-KO
「シン君。終わりました」
「うん。行こう」
シンは、さり気なく瞳子の手を取って歩き出した。
瞳子はふと、その後ろ姿が置いてきてしまった彼と重なり胸が苦しくなった。年は随分違うのに。
何故だろうと自身に問いかける。
「………シン君は、寂しくないですか?」
「?―――何で?」
シンは、コテンと首を傾げて瞳子の方に振り向いた。本当に何故そんなことを聞くのかという顔をしていた。
「家族と離れて、此処で庭師見習いをやっているでしょう?……だから、寂しくならないかと思ったんです」
「寂しくない。アルフ、優しい。みんな、優しい。だから、楽しい」
シンは、優しい笑みを浮かべていた。心の底から、この生活が楽しいのだろう。
「そう。ならいいの」
「うん。じゃあ、行こう」
そう言って、再び中庭に向かって歩き出した。
(彼は、神緯は―――寂しくないだろうか?泣いていないだろうか?)
瞳子は、自身の役目を放棄して神緯から離れてしまった事を後悔していた。なのに、こんな穏やかな生活をしている自分が信じられない。