TO-KO
「トーコ?着いたよ?」


ふと、瞳子が我に返るとそこは本当に中庭で。
此処は本当に違う世界なんだと思わせる風景だった。
アルフレッドの趣向なのだろう。薔薇の木がたくさんあり、今は季節ではないため咲いてはいないが、きっとその時期になれば鮮やかな中庭になるに違いない。

今は緑鮮やかな庭となっている。高垣は綺麗に切りそろえられており、庭師の性格が伺い知れる。

「あっ……、はい。ってシン君、あたしは何をすればいいんですか?」

「一緒に、種まき」

「………種、まきですか?」



瞳子は、思わず顔が引きつってしまった。


「―――シン君、種まきとはあの種まきですよね?」

「………?種まき、種類、ある?」

「いや、ないですけど」


ないのだが、そういうことではないのだと瞳子はため息を吐く。




「どうせ、やったことないって話だろう」


すぐ横にあった高垣の影から、黒髪の青年がいきなり現れた。

「!!……ウィリアムさん……。驚かせないでください」

「ああ、すまないな、――――図星で」

「ちょっ…」

「………シン、お帰り」


瞳子の焦った声を無視して、焦げ茶色の髪の青年、もといウィリアムはシンの方へ向き、穏やかに笑う。彼の、アシンメトリーの髪型が彼の動きに合わせて揺れている。彼は、この屋敷の庭師である。
実直で緑を愛する、青年だ。


「うん。ウィル、ただいま」


この二人は、師弟関係であるがまるで兄弟のように仲がよい。
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