TO-KO

瞳子は動きにくいメイド服を物ともせず、走った。


どうして

どうして

どうして
あんな事を仰ったのだろう
どうして
あんな顔をされたのだろう




どうしてあんな眼で自分を見つめたのだろうか―――?
と混乱した頭では同じことを自問するしかない。



「どうしてっ…?」


瞳子は適当に選別した部屋に勢いよく入り込み、すぐさまドアを背にしてへたり込む。
その目には涙が溜まっていた。


瞳子が今まであんなアルフレッドの顔を見るのは初めてだった。それを向けているのが、自身にだと言うことが不思議でならなかった。




まだ、彼女の心臓は燃えるように熱い。まるで体中が脈を打っているみたいだった。よく、自分は気丈でいられたと誉めてやりたい位に、今の自分はおかしいと瞳子は感じていた。


瞳子の頭にはアルフレッドの表情が焼き付いて離れなかった。ましてや、勘違いをしてしまいそうだった。
愚かで馬鹿な勘違いを。

もし、アルフレッドが自身の気持ちを知っていてああいった行動にでたのだとしたらと瞳子は眉をしかめた。


「たちが悪いわ…。アルフレッドさま…」


瞳子はそんな事…、あってたまるかと自責した。
有り得ないのだ。彼にはたくさんの女の人が居る。

瞳子は前にアルフレッドが言っていた事を覚えていた。
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