アイ・マイ上司とlove★battle
トントンと静かなフロアへ響いたノック音が、さらなる緊張感を生み出すけど。
今のトコロどこにも出る幕の無い私は、固唾を呑んで見守る事が正解だろう…。
「――はい、どちら様…」
「西本さん、私です。宜しいですか?」
ドア越しに届いたお尋ねを遮り、“私”の一言を返す涼子に目を丸くしてしまう。
「は、はい!直ちに――」
それどころか相当な慌てようの声色にも、コチラの思考はついていかないんですが…。
もの凄く大げさな音を立て、ガチャリッと開かれたドアは私の驚きを増すばかりで。
「り、涼子さん…、どうなさいましたか?」
「突然にすみません。
社長にお会いしたいのですが、出来ませんか?」
「は、はい…、丁度会議を終えて5分以内にお戻りかと――」
「でしたら、私たち待たせて頂きますね」
「かしこまりました」
血相を変えて現れた女性と涼子の会話には、もう唖然とするしか無いでしょ。
きっと社長秘書さんらしきベテラン女性が、なぜ涼子に敬語を使ってるのよ…?
ポカンとしている間にもスタスタと社長室へ入室して行くから、私はフリーズ状態だ。