ダイヤモンド・ヒーロー




まあ、あんな簡単なエプロンを夏休みまでわざわざ学校に来て縫うヤツだ。

サボっていたっておかしくない。



「あのっ! さっきの練習試合ってどっちが勝ったんですか?」


サボっていたくせに最後まで見てなかったのか?


最後のバッターをアウトにした時なんて、俺らの喜びはハンパ無かった。

みんなで肩を抱き合って、喜び合った。



「うちの野球部が勝った」


「やったー!」


手を空に向けて上げた。


「最後のピッチャー、かっこよかったー。
なんか、マウンドの上でキラキラ光っていた」


指先を合わせ、アゴに当てながら美山が笑う。


その“かっこいい”ピッチャーが俺なんですけど。

美山は気づいていないのか?



「最後の1球を投げる時になったら先生が戻って来ちゃったから最後まで見れなかったの」


美山が表情を曇らした。




< 20 / 200 >

この作品をシェア

pagetop