キミの心の声を聞かせて
「ねぇ、雄大…」

「なに?」

受けとったカットバンを口元に貼りながら、横目であたしを見る雄大。


だけど、自分では上手く貼れないみたいで


「貸して、あたしが貼るよ」とバクンバクンと心臓飛び出しそうなのを我慢しながら雄大の口元に手を伸ばした。


すぐ目の前にある雄大の唇。無意識にジッと見つめてしまう
触れたい…なんて思ったらいけないだ。
「貼れたよ」とカットバンを貼り終えると

ずっと気になっていたことを聞いた。


「どうして…そんなに優しいの?」

まだ出会って間もないあたしに、どうしてこんなに優しくしてくれるのか…。


「ヨッシーやシュンも、どうして優しいの?」

少しだけ沈黙が流れて、遠くの方で誰かがカラオケで何かを歌う声が聞こえてきた。


雄大が、フッと悲し気な微笑みを浮かべた。

「俺さぁ、実は昔悪かったんだよね」

「あ、うん」


驚かないの?って聞いてくる雄大に「シュンから、さっき聞いた」と答えると「そっかぁ」と、頭をクシャクシャと掻いた。



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