キミの心の声を聞かせて
気付けば、もう、あたしの家の前まで来ていた。
雄大は、きっといつもと同じ笑顔で「じゃあ、またな」とあたしに背を向けて帰っていくんだろうな…。
「じゃあ…」
「うん。ありがとうね。気をつけて帰ってね」
ホントは、もっと雄大と一緒にいたい。
そう思っていても、素直に言えないんだ。
どうしよう…。
「智樺…」
「なに?」
いつもなら「じゃあ、また明日な」と右手ヒラヒラさせながら帰っていく雄大が
きょうは、なんだかいつもと違う感じがする。
「あのさぁ、智樺」
少し俯いていた雄大は、顔を上げてあたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。
トクン…って胸の鼓動がざわつく。
「なに?」
「明日、デートしようか」
「えっ…」
雄大の少し照れながら言った言葉で、徐々に熱を帯びていく体温が、少し涼しくなった夜風が優しく撫でていった。