キミの心の声を聞かせて

「ただいま…」


雄大が「じゃあ、明日11時頃に迎え行くから」と右手をヒラヒラさせて帰っていく姿を見送ったあと


ボーと、放心状態で玄関のドアを開けると


「お帰りぃ。智樺、顔、赤いけど…どうしたの?」


心配そうな顔で、あたしの顔をジーと見る母がいた。


「うぅん。なんでもない。ちょっと、暑かっただけ」



そう言って、自分の部屋に向かい、ベッドの上にそのままダイブした。



“デートしようか”


雄大の言葉がグルグル頭の中を駆け巡る。


デート…デート…


「ウキャアーー!!」と枕を抱きしめて叫ぶと、リビングから「どうしたの!?」と母の声が聞こえてきた。


「なんでもない!!」と答えながら、顔はまだ真っ赤で…ドキドキが止まらなかった。




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