キミの心の声を聞かせて

暫くして、真っ暗になった空間の中。

静かに始まった映画を観ながら

時々、ポップコーンを取る指が雄大の指に触れてドキンとなった。

「「あっ…」」と互いに顔を見合わせ、またドキンと鳴る鼓動。


ドキン…ドキン…と相変わらず煩い鼓動を感じながら観ている映画は


プロになりたいバンド少年の、バンドとヒロインの恋も含まれていて


ドンドン、ストーリーの世界に入っていく中、チラリと雄大の顔を見つめてみては、まだ鳴り止まない鼓動が苦しくて

服の胸元をギュッと掴んでいた。


映画は、次第にエンディングに近づき、プロになるために上京する少年と、見送るヒロインとの別れのシーンに胸がチクリと痛んだ。



バックには、少年がヒロインの為に作った曲が流れ


『いつまでも、君だけを好きだから…また会う日まで…僕を忘れないで…』


と歌う歌詞が、キュンと切なくって、ホロリと涙が一粒こぼれ落ちた。



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