キミの心の声を聞かせて
上手く言葉にできないあたしは、もう一度
「ありがとう」と言って笑って雄大の顔を見ると
雄大の瞳が、真っ直ぐジィーと、あたしの顔を見ていた。
「雄大?どうしたの?」
「へっ?イヤ。なんでもない」
そう言って、あたしから視線を逸らした雄大。
それから雄大は、あたしの顔を見ないまま「じゃあ、暗くなる前に帰るか」と、サッサと歩き始めた。
「えっ?雄大?ちょっと待って」
慌てて雄大の後を追った。
急に黙り込んでしまった雄大。
どうしたんだろう?雄大、疲れたのかな?それとも…あたし、何かしたかな?
不思議に思いながら雄大の後ろを付いていった。
時間が過ぎるのは早くて夕日が沈みかけた空はオレンジ色に染まり
いつの間にか、あたしの家の近くまで来ていた。