キミの心の声を聞かせて
「だってさ。じゃあ、智樺、これが今やってる曲の歌詞ね。歌って」
先輩が、なんの迷いもなく、あたしに楽譜と歌詞カードを渡して言った。
「ちょっと、待って。あたし、楽譜読めないよ」
「大丈夫だよ。俺が最初歌うからさ、俺についてゆっくり歌えばいいから」
いきなり誘ったの俺だし。楽譜はゆっくり分かるようになればいいからと
「俺が教えてやるからさ」とニカッと明るい笑顔で微笑まれて
あたしは小さくコクンと頷いた。
不安はメチャクチャあるけど、やるって決めたから頑張ってみよう。
そう思ったんだ。