浮気女の嫁入り大作戦
同時に声を出した二人は顔を見合わせる。
なんだ、この少年。
沢田の知り合いか。
沢田は少年を見るなり眉間にしわを寄せ舌打ちをした。
俺とじゃれていた犬は、尻尾を振って花枝に飛び付く。
彼らの関係を教えてくれたのは、少年の一言である。
「兄ちゃん、何やってんの?」
なんと、この高校生は沢田の弟だったらしい。
犬が花枝になついているのにも納得がいく。
「いや、別に。つーか、お前は?」
「部活だよ」
「え? うそ? 弟さんなの?」
「あ、どうも……」
重なる偶然も運命のイタズラか。
勢いよく車両に飛び込んできた沢田も、予期せぬ事態にすっかり固まってしまっている。
「あの、お姉さん。たまにこの時間の電車に乗りますよね?」
「ええ、まあ……」
沢田とホテルに泊った帰りに限るが、そうとは言えない。