浮気女の嫁入り大作戦

(あたしのことボロクソに言っておいて、弟に彼女とか言っちゃって。何なのよ、もう)

 電車を降りると夏の熱気がイライラを加速させた。

 駅を出て歩き出すと、彼のネックレスが光を反射して奈緒の目を刺激する。

「それ、眩しい」

 奈緒は自ら手を伸ばし、ネックレスを彼のシャツの中に収めた。

「ああ、ごめん。ていうか、毎熊さんのネックレスのほうが眩しいから」

「じゃあこっち見ないで」

「うわ、自己中……」

 奈緒のデコルテには、未だに樹からもらったダイヤのネックレスが輝いている。

 そういえばあいつ、そろそろインドへ旅立った頃だろうか。

 二人は別れてしまったが、元気でやっていって欲しいものだ。

「ちょっと前までネックレスとか付けてなかったじゃない。なに急にチャラけてんのよ」

 自己中発言の仕返しとして、奈緒も反撃を試みる。

 しかし、彼から返ってきたのは意外な言葉だった。

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