浮気女の嫁入り大作戦
キッパリと言い切った沢田。
奈緒は驚いたが、ここで否定したらややこしくなると口をつぐむ。
少年は再び奈緒を見て、照れくさそうに笑った。
「ったく、何でお前に女の紹介しなきゃいけねんだっつの」
「いいじゃん、会っちゃったんだから」
奈緒はやっぱり笑うしかなかった。
暫くして、少年と犬はいつもの駅で降りて行った。
沢田は少年が座っていた席に腰を下ろす。
さっきまでより一層微妙な雰囲気になった。
沈黙に耐え切れず、奈緒はぽつりと言葉を発する。
「ねえ、何で追いかけてきたのよ」
「わかんね。なんか、誰かに背中を押された気がして。追いかけなきゃいけないような気になった」
それが花枝だとは知る由もない。
「何よ、それ」
「だから俺にもわかんないんだって。ほら、降りるよ」
気付けば降りる駅だ。
聞きたいことは他にもあるのに、タイミングを失ってしまった。