咲と亮
中学のときに、お世話になった人が始めた美容院のカットモデルを頼まれたので、
クラスメイト流川 咲と行ったのは、
その次の日には全校生の知るところになっていた。
朝、教室に到着すると、
「安達くんっ!」
「昨日さぁー…」
「ほんとに行ったの?」
ぺちゃくちゃ、と。
お前ら誰だよと言いたい、他クラスの女子どもに囲まれて。
デジャヴを感じながら、ぐったりと疲労して。
***
放課後。
咲と林とノブと喫茶店『愛』に。
なんで情報漏れてんだ、という疑問に、
「あ、ごっめーん。ワタシが言いふらしてますっ」
と、顔だけ清純美人な林 琉羽は満面の笑顔でカミングアウトした。
「「「………」」」
「…やっぱりお前かあああ!」
「ちょちょちょちょっと亮さん!落ち着くんだよ!」
「ごめんって。てへ☆」
「“てへ☆”じゃねー!前もだったよな!おい!口軽女!」
「今日1日なんか、すっごいデジャヴ感だったよ…琉羽のせいだね…」
咲も今日は前回同様、疲労困憊の1日だったようだ。
ノブがぽつり、と呟く。
「…ご、ごめ、ん。今回、も、止められなか「「まじデジャヴ!」」
2人して同時に頭かかえたのを見て、
「ひゃははははひーひー」
林は、大爆発だった。