LAST LOVE -最愛の人-
01 恋愛の法則
誰かが誰かを好きになって『恋』は動き出す。

告白して始まる、付き合うという二人の『恋愛』関係

時に喧嘩して、仲直りして。

手を繋いで、キスをして、セックスをして―――




これが定石。










だからと言って
お互いに同じ熱量だけ
お互いのことを想いあっている二人が

この世にどれだけ居るというのだろうか。




***





部屋に籠もるのは、熱を持った吐息とベッドのスプリングが軋む音。

「――っはぁ…」

拓弥が深く動く度、芽依は声にならない息を漏らした。

「芽依、気持ちイイ?」

「……うん」

その応えを聞いた拓弥は
芽依の柔らかな身体に映える、ほっそりとしたくびれを満足そうに撫で、更に動きを速めた。










(どうでもいいから、早く終わって――…)


拓弥と向き合った姿で繋がっていないことを幸いに
枕に向かって無言でそう呟くと、芽依は気だるそうに瞼を閉じた。


と、いうのも、芽依はセックスそのものが好きでは無かった。


否、厳密に言えば嫌いなほうでは無い――と自分では思っている。
お互いがじゃれ合って、肌を触れ合ったり、愛撫をすることは、楽しいし心地良いと感じる。


(子猫が日向でじゃれ合ってるみたいに。
そのまま、まどろんで眠れるような心地良さ。
そんなのが続けばいいのに)


それが一転、繋がると途端、芽依の芯から生まれていた熱は徐々に冷めてしまう。
心地良い快楽の波は去り、何もかもが嫌になってしまうのだ。


(『気持ちイイ?』なんて聞かれると特に駄目みたい…)





冷めてしまった気持ちを盛り上げようと、どこかの卑猥なビデオで喘いでいた女優を真似て艶っぽい声を出してみるも、無駄に終わるのが日常茶飯事で。


(でも、こんな時どうすればイイかなんて、誰も法則なんて教えてくれないし)






黙り込んでしまいたい気持ちとは裏腹に、芽依に今できる精一杯のことは、拓弥が早く果ててくれることを祈り、より『気持ちイイ』と声をあげることだけだった。



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