LAST LOVE -最愛の人-
「私だってね、キスひとつにドキドキして憧れてた時代もあったわけ」

「ホントにぃ?芽依ちゃん絶対昔っからスレてるでしょ」


理子が芽依をからかうようにけらけらと笑いながらいなす。


「スレてないってば。昔から純だし私」

「はい出た『私世の中に冷めてますけど何か~』ってゆう目」

「はぁ?!どこの乙女捕まえて言うセリフ?」

「あはは~喋らなきゃ美人なのにね、芽依ちゃんは~」

「ちょっと理子!誉めるかけなすかどっちなのアンタは!」





21歳大学生

結城芽依[ユウキメイ]

同じく

東理子[アヅマリコ]



バイトあがり、仲間達とくだらない話をわいわい騒ぐのが、芽依の楽しみの一つだった。

芽依は大学に入った夏休みから、スポーツジムの受付のアルバイトを続けている。

それから早3年が経ち、4年の夏休み。
理子とは1回生からの仲で、大学が違うものの、今や何でも言い合える大親友の仲だ。

同じくバイト先で出会った

向井拓弥[ムカイタクヤ]

彼も芽依、理子と同い年である。
拓弥とは付き合う前から仲が良かった。
前々から好意を抱いてくれていたのも、元彼と付き合っていた頃から、薄々ではあるが感じていた。

長身ですらっとしているものの程良い筋肉質でスタイルの良い体系。
暗めのアッシュブラウンの髪がスポーツマンらしい。

硬派で、スポーツができ、後輩からの人気も高い拓弥。

同じジムの受付ではあるものの、大学で体育会サッカー部に所属している拓弥は、インストラクターの補助もしている。
そのおかげで店長やお客さんからの信頼も高かった。

そんな拓弥から好きだと言って貰えるのは心地が良く、告白された時点でフリーだった芽依が、OKの返事に迷うことは無かった。





―――はずなのだが。







『バイト先の皆に、俺達のこと話してもいいよな?』


付き合いはじめの拓弥からの言葉に戸惑った瞬間。それはほんの一瞬のことだったのだけれど。





『…みんなに気使わせたくないから、やめとこう?』





あの時感じた胸の奥のしこりが、今になってどんどんと大きくなっているような気がして―――。




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