メガネの裏はひとりじめⅠ
ここ最近、リュウちゃんの怒りをもらってばっかりだ。できれば、ていうか絶対に。遅刻はしたくない。
次したら命が危うくなる危険性もあり得る。
あたしに声をかけて、校舎裏と同じ、殆ど人が来ない体育館裏にまで連れてきて。話、とはなんなのか。
もう10分経ったんだぞ(予想だけど)。いい加減、話してくれてもいいと思う。
それとも、え?あたしに可愛いねって言いたかっただけ、とか?ちち違うよね!?
『…あ、あの、話ってなに?』
「ぅへ!?」
可愛いねと言ってくれてから、口を閉じてしまっていた男の子。
ほんのりと頬っぺたをピンクに色づけて、なにか言いたげにちらり、ちらり、と視線を向けてくるだけで。
リュウちゃんのお怒りにビビったあたしは自分から口火を切った。
へ!?と一文字だった唇から零れた声は、あたしが先に口を開いたことが予想外だと言わんばかりに素っ頓狂。"へ"の前に小さい"う"が入ったぐらいだもんね。
「あ、えっと、そ、そのー…、」
『…、』
「…あ、あの!…です、ね…、」
『(えー…。)』
もじもじ、もじもじ。
爽やかなのにピンク色から赤色に頬っぺたを染め上げてもじもじし出した男の子。話が進まない。