メガネの裏はひとりじめⅠ


は、早く言ってよ〜!時間がないよあと5分!もしかしたら5分もないかもしれない!3分、いや2分?はたまた1分かも!!



『(の、NO!!)』



そう思い込んでしまったら、いてもたってもいられない。あわあわと焦りが浮かんできて。――…ああ、もう無理!



『ごごごめん!遅刻しちゃうからっ。』



ここで遅刻しちゃったら、遅刻しないように、リュウちゃんに怒られないように余裕を持って家を出ている意味が全くもって皆無。


浮かぶ焦りを隠せないまま早口でそう言うと、あたしは踵をくるりと返した。


が、「ま、待って!」あたし同様焦りを孕んだ声がすぐに飛んでくる。


呼び止められてしまえば止まらないわけにはいかない。めちゃくちゃ焦ったまま首を動かし顔だけ振り向かせた。



…ていうか交わされる会話、あたしも男の子も必ずどもってない?なんか落ち着きない子みたいで嫌だな…。


い、今は焦ってるだけだからね!だからどもっちゃうの!ね!



と。

男の子もやっぱりあたしと同じらしい。唇から続けて出るセリフは落ち着きがなかった。つまりどもってしまっていた。

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