憎悪の視線
 二、三日後、私は百合子と気分転換に出かけることにした。

 自宅マンションを出ると、いつものように細い道に入り、駅までの道のりをゆっくり歩いていた。すると、携帯を忘れていることに気付いたので、立ち止まり引き返そうとしたその時、

 ガシャーン!

 すごい音がしたと同時に私のすぐ側には植木鉢が割れていた。

 慌てて上を見上げると、そこは廃墟になっている五階建てのビルしかない。

 どうして廃墟のビルから植木鉢なんか……私はやはり誰かに狙われてるっていうことなの。

 一瞬にして寒気がした。

 私はお腹に片手を当てながら、小走りに家に戻ると携帯で百合子にかけた。


「百合子、ごめん。今からうちに来てくれない? 植木鉢が」


 慌てていたので上手く説明出来ない私を心配したのだろう、百合子はすぐ行くと云ってくれた。
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