キミが居た病院

 意を決して思い切り振り返り、先ほど探し出した紙を洗面台で湿らせる。

「学校からのお知らせだけど……いいよね!」


 濡らした後、顔を上げるのが怖かった。

 なんせ洗面台のところに鏡が付いているのだから。


 さん、にぃー、いち!!


 三つ数えて顔を上げると、そこには普通の鏡が取り付けられていて、優香の顔と、後ろの部屋の様子を映しているだけだった。

 まじまじと見ても、それは何も変わらない。


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