キミが居た病院


 例の‘何か’が優香のすぐ右後ろに立っていたのだ。


 優香はあまりの恐怖に立ちすくんでしまい、声を出せず、頭が真っ白になってしまった。

 まるで呼吸の仕方を忘れてしまったかのように、「ヒッ……ヒッ……」という音が口から漏れている。

 本当は目をそらして今すぐ飛び出したいのに、体が言う事を聞かず、視線は‘何か’を凝視してしまっている。


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