揺れる
 自分の意思の欠片も感じられず、私は座敷箒を壁に立て掛けて、姿身の前にあぐらを掻いて自分の顔を睨みつけた。       


 はっきりしなさいよ。



 もちろん鏡の向こうの私も同じ問いを私に投げ掛けてきた。



 私はまだこんな不毛なことをするのかと呆れて、ゆっくりと床に寝そべった。


 白塗りの天井が無言のまま私を見下ろしていた。



 電灯の隅のところにクモの巣があるな。あそこは何だか汚いな。



 そんな天井観察をしている中、何やらお腹の丁度みぞおちの辺りに違和感があることに、ふとは私は気がついた。



 服の裾から右手を入れて撫でるように触っても、何も異常はなかった。



 でも違和感がある。



 穴が空いたような、重くなったような。



 どんなに擦っても、手は異常を感知しない。
< 14 / 37 >

この作品をシェア

pagetop