君と一緒に♪
それからもたびたび先輩と会った。

あ、待ち合わせとかじゃなくて偶然!

「あれ?菜々美?」

いつの間にか先輩はうちのことを菜々美って呼ぶようになっていた。

菜々美って呼ぶのなんてお母さんしかいないからめっちゃビビった。

「僕はさ、咲哉でいいよ?」

そう言われたけど呼べるわけがない。

とりあえず、

「咲哉先輩、でもイイですか?」

咲哉先輩、にしておいた。

咲哉先輩は生徒会執行部所属の3年生。

まぁ、前からいっている通り女たらしだけど、うち的にはそうでもないと思う。

なんだかんだいって、優しいし。


「ななみっ」

「咲哉先輩?!」

「えっ、咲哉……って」

あたしは何か言いかけた美術部の友達の口をふさいだ。

「ごめんね、迷惑だったかな?」

「いえっ、全然!!」

「これ、ハイ。僕のメアド。よかったらメールして?」

「あっ、はいっっ!!今夜メールします♪」

「はーい。じゃあね」

「失礼します。」


「ななっぺさ、黒木先輩とどういう関係?なんかあの先輩悪い噂絶えないよ~。このまえなんてさ、先輩と付き合ってた彼女。なんにもしてないのにいきなりふられたんだって。理由はさ、「1年に好きな子ができた」んだってさー。もしかしてななっぺ?でも絶対に付き合わないほうがいいよぉ~……。すぐ捨てられ「もういいでしょ。」

「え?」

「もういいでしょ?人の悪口……聞きたくない。」


あたしはその場から逃げた。

さっきあたしは「人の悪口」って言ったけど、正確には「先輩の悪口」だ。

もう、遅い。

恋しちゃったんだから。

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