amoroso



帰り際


「香音、お疲れさま。」


ディレクターの須藤 紘美さんが声をかけてくれた。


「あっ、須藤さん お疲れさまです。」

「今日は一緒についてられなくて、ごめんね。レコーディングはどうだった?」

「もうバッチリです。」

「本当に!?なんか疲れてるみたいだけど大丈夫?」


「それは…。」


「初めてのレコーディングだし、何度も歌わなくてはいけないから、疲れるわよね。」


「歌う事は…好きだから疲れないんですが…。」


「ん?」

「…あの~、これから先 毎回あの平野プロデューサーなんですが?」


「そのつもりだけど、どうして?」


「いや~、ちょっと苦手だなぁって思って。」


「なんか嫌な事でも言われたの?」


「ううん。でもなんか恐くて…。」


「平野くんはいいプロデューサーだよ。あいつに任せれば間違いなく売れる。確かに顔は恐いけどね…。」

と 須藤は苦笑いをする。


「そうなんです。」


「まぁ 真剣に仕事をすると誰でも恐い顔になるわよ。さぁ 明日もレッスンあるんだから早く帰りなさい。」


「はい。お疲れさまでした。」



と 香音は帰宅をする。



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