amoroso





香音の帰りを見届けた

須藤は平野の元に向かった。



「平野君 お疲れさま。」


「紘美さんお疲れさまです。」


「今日の香音のレコーディングはどうだった?」


「完璧です。あの子 歌唱力は申し分はありませんし、順応性もあって 少し間違えを指摘だけですぐ直してくれますし。初めてのレコーディングですがスムーズにいきましたよ。」


「そう。…私の目に狂いはなかったわね。」

「…でも…」


「でも?」


「あの子歌は綺麗で、ガラスケースに入ってる花って感じなんですよ。」


「そうよ。その通りだわ。だってあの子の売りは純粋だもん。」

「純粋かぁ…。今まで純粋とか元気とかありきたりな売りをしたアイドルの子は沢山いて みな2・3年で消えて行ったなぁ と思ったんで。」


「それは実力がなかったからだわ。私はあの子にそんな風には絶対させない。国民的アイドルになってもらうわ。」


「そうですか…。」

「なに?香音には実力がないとでもいうの?」

「いえ、あの子はあると思いますよ。ただ…。」

「ただ?」



「ガラスケースに入ってる花って

触れると折れちゃうんですよね……」









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