罪-ウラギリ-
「あ、そろそろ行こ!!遅刻するよ!」
葵はそう言って走り出す。
-彼女とは、中一の時出会った。
私は別の地域から引っ越してきて、いわゆる『転校生』だった。
誰一人、知り合いが居なくて不安だった時、話しかけてくれたのが葵だった。
葵は優しくて元気で明るく、ボーイッシュな子で、一緒にいると楽しくて。
あの頃の私は、彼女のことを友ダチとしては好きだった-…
中庭の壁に貼られた紙の前に、たくさんの生徒が集まっている。
歓喜する者、落胆する者さまざまだ。
「葵~、華恋!」
人だかりの中から、一人の生徒が出てきた。
私達と同じ部活に所属している、林亜弓だ。
背が低く、丸いメガネが特徴で、男女共に可愛がられている。
「おはよう、亜弓」
「おはよう!うちらみんな同じクラスだよ!!」
「マジで?ヤッター!よろしくなぁー!」
葵は思いっきり辺りを飛び回っていた。
恥ずかしくないのだろうか…?