イツカミタユメ
うつぶせのあいつは私を見つけて微笑んだ
なんで、どうして私なんかを助けたの?
私はあいつに駆け寄り目の前で泣き崩れた
『…強く押したけど…大丈夫?』
あいつの手が私の頬に触れた
『…うん、大丈夫だよ?』
『…よかった』
私の顔を見つめる
また頭の中でフラッシュバックした
私をかばって車にひかれてる…
私は前にもこの光景を見てる
あいつの手が滑り落ちそうになった、手を強く握りしめる
『…覚えてる…?…これで…2度目だね』
私は頷いた
『…ぅん、思いだしたよ、でも名前が思い出せない…』
『…今度はちゃんと言うから…聞いていて…』
握った手が冷たくなっていく
『…き』
あいつが私の目を見つめる
『みずき…』
今度は、はっきり聞こえた、ずっと聞きたかった名前
声に出してみる
『瑞希』
瑞希が微笑んだ
私は全てを思い出した
『…私はまだ伝えてない!本当は好きだって、前に会った時から好きだって!』
瑞希が頷いた
『冷たいフリをしていたのは…最後を知っていたから、瑞希の最後を…』
涙が止まらない
『嫌っ、やっと会えたのに…思い出したのに!』
瑞希が強く手を握ってきた
『また…会える…次は忘れない…で』
瑞希は瞼を閉じた
そして私は夢から覚めた
泣きながら、私はケータイに一文字づつ綴っていく
今度、会っても瑞希の事を忘れないように
いつか…会えるその日まで
そして今日も夢を見る