純愛ワルツ
「私なんて、何の力にもならない事くらい分かってます。でも、私は…彼女だから茜くんが元気になるまでそばにいる権利はあります!」


「権利?」


「はい。茜くんは私のものです。他の誰にも茜くんのそばにいられる特権は渡しません」




私、独占欲強いんですよ?と笑う胡桃。



堪らず抱きしめると、一瞬体を強張らせた胡桃が

ポンポンと優しく背中を叩いてくれた。





「…大丈夫です。私はずっと茜くんといます。寂しい事も悲しい事も辛い事も、全部私にぶつけていいんですよ」




そうだよ。


俺は胡桃が、胡桃だけがこんなにも大好きなんだ。




他の女の事で傷付いてる場合じゃない。

他の女の事で悩んでる場合じゃない。




この子の事だけ

考えていればいいんだ。






「1人で傷付かないで下さい」


「ありがとう、胡桃」





胡桃だけは失いたくない。



そんな感情を抱いたのも初めてだった。






どうか、ずっと

その甘く儚い優しさで



俺の思考回路を犯して。






他に何も

考えられない程に。
< 92 / 144 >

この作品をシェア

pagetop