元気あげます!巴里編
「いえ、パリにきて私の知らない千裕様がいっぱいで、うれしいようで・・・悲しいようで。」
「悲しい。・・・どうして?」
「日本を離れるときは、学校の先生や屋敷内で仕事してたときの千裕様になんとか近づけたらいいなって思ってました。
でも・・・実際パリでの千裕様を見てると、とてつもなく千裕様がすごすぎて、近くなるどころかどんどん遠ざかるばかり・・・。はぁ・・・。」
「何、言ってるんだよ。あはは・・・そりゃ、俺はもともと天才だし、小さい時から鍛えられてきたわけだから、普通の高校生だったひかるには別世界の人物に見えるかもしれないけど、家出してから俺のところにもどってきたときのことを思い出してくれよ。
ひかるがいなくなった少しの間に俺はボロボロになってたよな。
それ見て、ひかる泣いてくれたよな。」
「ええ。私がいなくなったくらいじゃ、千裕様の周りなんかいつもとどこも変化なんてしないものだと思ってたのに・・・びっくりするくらいお部屋が荒れて・・・。
片付けは大変だったのに、うれしくて・・・。」
「才能があるとかないとか、どんな仕事してるとかしてないとかで遠ざかるっていうのはおかしいと思わないか。
俺は前も言ったけど、ひかるが俺を遠い存在にしてくれることが悲しいよ。
勝手に差をつけてくれて、去られる身になってみろ。」
「うふふ・・・側にいてほしいって言ってください。」
「うぉ・・・((最近、足元みるようになったな。))
俺の側にいてください。・・・・・これでいいのか?」
「うう・・・。」
!!!!!!「いきなり泣くなっ。」
「千裕様は優しすぎますぅ。
テストの点数の悪さは指摘しても、私をバカ扱いってしたことないじゃないですか。
もっと、バカって言ってくれていいのに。」
「なんでそんなこと言わなきゃいけない?
ひかるは天才じゃないけど、テストの勉強もがんばったし、今も先輩のために必死にデザインを考えてる。
たぶんな・・・今のデザインも、たとえば俺がここで描かなかったとしても、別の何かのきっかけがあれば、おまえは絵を思いついたと思うぞ。」