元気あげます!巴里編
「そりゃねぇ、年齢もそこそこ離れてるでしょ?
家も自営業失敗で借金まみれでなくなったでしょう。

あ、ごめんね。失礼なことばかりいつも言ってしまって。
例えばさ、例えばなんだけど、ひかるちゃんの相手が僕だったとしたら、ひっかかることは何もないと思うんだ。

個人的事情で終わってしまうし、雑誌でとりあげることもあり得なかったろう。
あれ・・・ひかるちゃん?」



「自分でも不釣り合いだと思ってますよ。
だから、フランスにまでやってきてあがいてるんですから・・・。
少しでもふさわしい女性になりたくて。」



ひかるが涙声でそう言うと、隅田は頭を下げて言いました。


「すみません、配慮が足りなさ過ぎました。
今まさに苦難に立ち向かってるとこだったんだ。
調べてるつもりが、何を見ていたんだか・・・。
本当に申し訳ない。

でも、だからこそ、取材に応じてほしいんです。
確かにシンデレラストーリー狙いして、君に近付いたんだけど、僕はがんばってる女性を応援したいし、がんばりたい女性読者を元気づけたいと思ってる。

シンデレラな部分は夢の部分、現実はパティシエ見習いとしてがんばる君の姿。
それだけでも、紹介する価値は十分あると思うんだ。

できればそういう君を支える千裕さんの存在として、千裕さんが君を選んだ話を聞きたいとこなんだけれど・・・なくても僕は書くつもりです。」



「隅田さんは言葉を操るのがお上手なんですね。
プロには勝てません。
千裕さんと私のきっかけをお話します。
ほんとに小さな思い出なんですけどね・・・」



ひかるは施設にいたときの話を隅田に話しました。


「折り紙で作った☆星をくれた女の子か・・・。
千裕さんが社長の外でできた子だって話は知っていたけれど、そういうきっかけで三崎の息子になったとは知らなかったよ。

いいんだね、公表しても。」


「はい。ほんとに些細でしょ。」


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