元気あげます!巴里編
「なんか妬けちゃいます!」
「ぐだぐだ言ってないで、とっとと学校へ行って帰れ!」
「はいっ。お先に失礼します。」
ひかるは歩きながらつぶやきました。
「お別れの言葉って直接言えないよね・・・。もう絶対会えないのなら別だろうけど、会おうと思えば会いにいけるけれど、会えないときって、直接言いたくない。」
学校が終わって帰宅すると、千裕の姿は当然なく、記憶がもどらない間に描いたスケッチ画が数枚、千裕が寝ていたベッドの横の床の上に落ちていました。
「お互い仕事だ、修行だって言ってたときは、これがあたりまえだったんだよね。
へんなの・・・。まだそこに頼りなげな顔をして鉛筆を走らせていた千裕様がいるような気がする。」
RRRRRRRR・・・♪
「もしもし、ひかる。
俺、無事に着いたから・・・。なんて今まで電話なんてしたことなかったよな。」
「はい。・・・あの、セルジュさんから手紙受け取りました。
直接言いにくいんだったら、メールでもよかったのに・・・。」
セルジュさんに迷惑ですよ。」
「怒っていたのか、あいつ?」
「べつに、怒ってはいませんでしたけど・・・私が泣いちゃったから迷惑かけちゃったじゃないですか。」
「やっぱりそうか。」
「やっぱりじゃありません!自分の用事なんですから自分で・・・」
「ごめんな。今回は正直、仕事の見通しがつかなくて、だいたい復帰できるのかさえわからなかったものだから、どう言っていいかわからなくてな。
いつ頃会おうとも言えない状況で。
いっそのこと、クビになってしまった方がいいって思ったりさ。」
「それはダメですよ。
千裕様を待ってる部下は大勢いるんですから。
それとも、体がつらいですか?」
「そうだね。・・・体も少しつらいけど、心がつらいかな。
癒してくれる人が側にいないから。な~~んて・・・。」