元気あげます!巴里編

「お正月もパーティーが多くて、私もそっちへ帰れそうにないし、千裕様がんばって片付けてきてくださいよ。」


「あのなぁ・・・。わかったよ、がんばって仕事片付けるようにするから、ひかるも精進しろよ。」


「はいっ」





ひかるは自分の顔を2回パチパチっと手ではたくと、自分のためにしっかり食事をつくり、その後学校の課題に取り組みました。

そして、さっさと寝床に入り、朝が来て・・・。


そういう日々が続き、新年を迎えていました。

琴美といっしょに新年の挨拶とおせちでお祝いするも、ひかるは大手のホテルで行われるパーティーのデザート作りの仕事で走り回ることになりました。


中でもひかるが考案した季節の花いっぱいのケーキは女性客にとても人気が高く、ひかるが手がまわらない状況になる中、セルジュが助手をつとめるほどの盛況ぶりでした。


「セルジュさん、すみません。私がとろいばっかりに・・・。」


「気にするな。これだけ人気作を考えたんだ・・・。作業が早い助手をこきつかえばいいだけだろ。」


「でも・・・もったいない助手さんです。」


「そういってくれるのなら、このあとデートに誘ってもいいか?
クリスマスも年末もずっとひとりで、勉強ばかりしてただろう。
OKならたくさんこきつかってくれ。」



「わかりました。お願いします。」



「交渉成立だな。」



セルジュの応援もあってデザートは材料すべてなくなるほどの完売となりました。

仕事を終えて約束通り、ひかるはセルジュと外へ出ました。



「ライトアップされた花畑ってステキですね。」


「毎日、都会のホテルでばかりの仕事だからな、少し田舎の方がいいと思ってな。
正直いってさ、帰っても千裕がいない家で、ひかるが必死に勉強してるとは思わなかったよ。
クリスマスは日本へもどるのかと思ってたし、千裕もこっちに来る気配がぜんぜんないんだからな。

誘う絶好のチャンスのはずが、息がつまるくらいの熱意に追い返されてしまったよ。」



「セルジュさん・・・。」
< 108 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop