元気あげます!巴里編
ひかるが日本へ帰ってきて、驚くほどの急ピッチで千裕との結婚式当日となってしまいました。
ひかるが父と兄と話ができたのは結婚前日という慌ただしさで、それでもひかるの親類、縁者は皆、祝福してくれました。
「お母さん、ほんとに今日が私の結婚式だなんて、まだ信じられないけど、お母さんの分まで私、絶対に幸せになるからね。」
母の写真に語りかけ、ひかるは色打掛で神前結婚にのぞみました。
「千裕様はどうして、着物に決めちゃったんですか?」
「ドレスが着たかった?・・・それはね・・・その・・・ドレスは露出度が高いしさ・・・。
ほら、着物の方が気持ちがひきしまるだろ。あははは・・・」
「こころなしか、いやらしいこと考えてますか?」
「滅相もない!」
披露宴が続かないので、ひかるは比較的ゆったり過ごせましたが、三崎の家では両親と千裕、そして琴美がお祝いやメッセージなどに目を通して大忙しでした。
それでも、いつも千裕の書斎に行く時間には千裕もひかるを部屋まで迎えにきました。
「ひかる、あのな・・・今日から2人で新しい部屋に移ることになった。
高田たちがもう準備してくれてて・・・。
さぁ、行くぞ。」
「きゃぁ!」
千裕は新しい部屋の前でひかるをお姫様だっこして、2人の寝室へと入りました。
「あっ、私、いきなりこんな広い部屋だと落ち着かない・・・。
やっぱり、あの・・・」
ひかるが落っことされたベッドからおりようとすると、すかさず千裕がひかるの腕をつかんで押し倒しました。
「姫、気にそぐわないかもしれないけど、今だけはまわりは見ずに、俺だけを見てほしい。いいね。」
「あ・・・は、はい。
あのね、千裕様。私まだ、不束者ですが・・・って挨拶してない・・・。
あっ・・・ああ・・ん・・・」
「ごめん、逆回しは却下だから挨拶は言葉だけしゃべってて。」
「はい。・・・そ、そんな・・・ああっ。」