元気あげます!巴里編
学校の近くに建った店舗はひかるの想像以上に清潔感のある店でした。
フランスの田舎の建築物を思わせるような、かわいいけれど、チョコレート色とベージュがベースになっていて落ち着いた気分にさせてくれます。
「女子高生向けじゃないね。ピンクがないもの。」
「ひかるはそういうのがよかったっけ?
ピンクピンクはダメとか言ってたろ。」
「うん・・・ただ、ないっていうと暗い感じがするかなぁって。」
「これならどうかな?このカップとソーサー見てみな。」
「こ、これって・・・千裕様の絵・・・。」
「記憶喪失が生み出した芸術な~んてね。ちょっと商売してたりして。」
「すっごいいい!薄いピンクに絵がすごく似合う。」
「気に入ってくれた?」
「はいっ」
「じゃ、これでお店のことは中断っと。
あとは、俺たちを待ってる人がいるから、そっちへ行かないとな。」
「待ってるって・・・?」
千裕に連れられてあるビルの中のドアを開けると、そこは着物やドレスがたくさん並べられていました。
「おそかったわね。こっちはもう楽しみで楽しみで待ちくたびれてるくらいよ。」
「琴美さん。いつ日本へ?」
「昨日よ。千裕が早く早くってうるさくてねぇ。
お店出すのもいいけれど、一生に一度のことなんだから、じっくり準備するべきところはじっくりとねぇ・・・。」
「琴美さん、文句は俺がお聞きしますから、早くひかるの衣装を決めてあげて。」
「わかってます。あんたも自分の分を決めて来なさい!」
ひかるは、何が何だかじっくり眺めるまでもなく、いろんなことが決まっていくので、あっけにとられてしまいました。
「たしかに、自分で決めろなんて言われてもこのすごい数だと決められないわね。
プロの人たちってすごい。」