元気あげます!巴里編

翌朝、ひかるが目を覚ますと視界の中に難しそうな本が見えました。


((私、千裕様といっしょに・・・。))


「初日から早寝、朝寝坊っていい度胸してるな。」


「あっ!ごめんなさいっ。私、昨日いつ自分が寝てしまったのかも覚えてない。
すぐ、ご飯の用意を・・・」


ひかるがベッドから出ようとするのを千裕は止めて言いました。


「食事は用意されてるよ。朝、高田に言っておいた。
もう少し、ひかるの顔を近くで見ていたいな。」


「そ、そんな近くで!」


「昨日はコンタクトだったし、メガネは書斎に置いて来たから、このくらい近くないとね。
ひかるは留学してる間に大人になったね。
触れるだけでドキドキするよ。」



「高校生のときはドキドキもしてくれなかったんですか?」


「いや・・・あのときは、どっちかっていうと、かわいくて仕方がないというか・・・。
守ってやんないとというか・・・。

でも、記憶をなくして、頼るものがないという心細さばかりのときに、ひかるの存在はとても大きかった。

たぶん、小さい頃の過去がなかったとしても、ここからひかるを愛してると思った。
なんて・・・な。」




「コホン!三崎千裕・・・私は・・・」



「うん・・・。」



「お腹がすきました。活動する時間は活動します。以上!」



「ぷっ!確かに、おとなも腹は減る。・・・か。」




千裕とひかるは、この日は必要な日用品の買い出しに出かけました。

買い物をしていると、何やら千裕がひとり分の寝具やら日用品を購入していることにひかるは不思議に思いました。


「どうして、一人暮らしグッズみたいなのを買うの?」


「ああ、明日店の管理者が来るから。」
< 117 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop