元気あげます!巴里編
セルジュにムースのデザインの基礎になったイラストとひかると千裕がアレンジしたムースのデザイン画を見せると、セルジュはひかるに一度も見せたことがない笑顔を見せました。
「いい、すばらしいよ。マダム・コトミのイラストからほんとにいい感じで抜き出せてる。
わざと色をのせて食べる人に想像させるなんて、とてもいい発想だ。
よし、早速まず試作品で3つ並べるからな・・・。」
「はいっ((想像させるっていうのは千裕様の発想なんだけどなぁ。あはっ))」
セルジュの作るムースの試作品はひかるの描いたデザインが本当に立体になって飛び出したようで、ひかるはとてもうれしくなりました。
そして、セレブな女性たちが集うイベントが開始されると、用意されたお菓子がみるみるうちに減っていくのでした。
セルジュは色の部分を2種類の別パターンで用意して合計6種類のイラストムースを提供しました。
ひかるはサービス係に加わって女性客の反応を近くで見て回っていました。
評判は思ってた以上によく、若い女性が喜ぶことはもちろん、年配の女性たちが思わず「かわいい」という言葉を数多く発していました。
ひかるは琴美から女性は年がいくにつれ、かわいいものをほんとは身につけたいものなのだとよく話をきいていたので、ムースをなるべく年配の女性たち優先ですすめてまわりました。
中には家族にお土産として持ち帰りたいという女性もいましたが、イベント限定のムースはまだ正式に商品化していないということで、商品化したらという約束だけをとりつけ工房の連絡先を教えることで納得してもらうことにしました。
イベントは大成功で終わり、セルジュとひかるは汚れた道具のみを車に積んで工房へもどりました。
「材料はからっぽだ。すごいやりがいのある仕事をしたな。」
「はい、私も本物を見て感動しちゃいましたよ。
私のデザイン画がとてもきれいでおいしそうだったんですもの。」
「はぁ?ちょ・・・ひかるは試作品食べなかったのか?」
「いただくつもりだったんですけど、取材にきてたお姉さんに横取りされちゃったんですぅ。
でも、かわいいとおいしいを連発してたので、まぁいっかって・・・。」