元気あげます!巴里編
「バカヤローっ・・・もっと早く言えよ。俺はてっきり、おまえが食べて他人にすすめてるもんだと思ってたのに。」
「すみません・・・。」
「仕方ないな。明日だ。」
「はぁ?」
「明日、チーフにも食べてもらう予定になってるから、そのときにおまえも食え。
ちゃんと感想言えよ。」
「はい、ぜひいただきます!」
「今日は疲れただろ。すまなかったな・・・あのな・・・勉強中になるべく・・・寝るなよ。」
「大丈夫ですっ。私、セルジュさんより若いですからっ。
じゃ、お先に失礼しまぁ~す。」
「こらぁ!・・・調子狂うな・・・あいつがいると。」
翌日、セルジュはチーフのヴァレリーにイベントの報告をしながら、ムースの感想をきいていました。
ひかるは約束どおり、自分が最初にデザインした風船の絵付きのムースを食べました。
「きゃぁーーーー!」
ひかるの声にみんながびっくりして、ひかるを注目しました。
「あ、すみません・・・。こんなにおいしいなんて想像してなかったものですから・・・。」
ひかるは恥ずかしくて顔を真っ赤にしてムースにパクついてしまいました。
((どうしよう・・・いくらおいしいからって、あまりにオバカな反応だったみたい。
セルジュさんにそんな感想あるかって叱られそう・・・。))
ひかるがこわごわセルジュの方をチラと見ると、セルジュが笑いながらひかるを指差して、
「どうだ、昨日も食べときゃよかったって思ったろ!」
と言いました。
ひかるはウンウンとひたすらうなずいていました。