元気あげます!巴里編

「愛されること?」


「そう。自分が相手を好きになることも大切だけど、他人にひたすら尽くしてもらう事もあってもいいんじゃないかな。
知らないまま、おばあさんになってしまうなんてもったいない話だよ。」



「そういえば・・・琴美さんがそんなことを言ってたような。」



「マダム・コトミは若いとき、たくさんの男を侍らせたと聞くよ。
お金で雇ったりしたのではなくて、本当にコトミはとても美しい女性だったからなんだって俺の親父も言ってたよ。」


「へぇ。おじいちゃん一筋なのは結婚してからの話だったのね。」



「そうだね。だから、ひかるは尽くしてもらっていいんだ。」


「私は琴美さんみたいに、華やかじゃないもの。
尽くしてくれる人なんて・・・。」



「俺が守ってやる。ひかるに尽くしたいって言ったら?」




「えっ・・・。それは・・・」


「わからない顔をしているな。菓子は手取り足取り教えてはいないんだがな・・・。」



セルジュはひかるをソファに押し倒すと優しく左手でひかるの頬を撫で、右手はひかるの右手を握ったまま、唇に自分の唇を重ねた。



((どうしよ。押し倒されたら襲われちゃうのかと思ったけれど、なんだか違う。
私、何を考えているんだろう・・・。抵抗もせずにこんな・・・。
誘拐されたのが恐かったからかな。・・・安心してしまうキスって初めてだ。))


2度、3度とセルジュがひかるに優しくキスを重ねると、インターホンが部屋に鳴り響きました。



「ひかるに殴られずに済んだから、今度はお客に宣戦布告だな。
さぁ、帰る時間だ。」



セルジュがひかるを連れて玄関を開けると、千裕がいました。


「遅くなってごめん。さ、帰ろうか。」


「うん。・・・セルジュさん、ありがとうございました。」


ひかるがお礼を言って玄関を出ると、千裕がセルジュに礼を言いました。


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