元気あげます!巴里編
「す、すごい徹底ぶりですね。」


「もちろん、三崎という強固な砦から姫をかっさらおうというのです。
キサラギの人間になれば、三崎とは何の関係もなくなります。

現時点ではそれからいうと完全勝利状態なんですが、私も紳士的に約束は守りますから、3か月後、完全にあなたに嫌われたことを実感すれば、あなたからも三崎からも手をひきます。
それが私の覚悟です。」



「はぁ~そこまで言われると、うれしく思わないといけませんね。
私のような女にそこまで考えてもらって、うらやむ女性が何人いるんだか・・・。」


「そんな人はいませんよ。みんな恐がってます。
コーヒーを持って来るメイドだって、避けてくれていますから。
ほんとに千裕がうらやましいと思った。」



「私がメイドをしていたというのも、調べたんですね。」


「はい。その手の情報は簡単に入ってくるのでね。
知れば知るほど、興味がわきましたよ。
シンデレラストーリー・・・といっていいくらいに。」


「シンデレラストーリーを阻止しようとしているのでしょう?」


「いいえ。阻止はしません。続行中ですよ。
相手役が変更になっただけと考えていただければいいのでは?」


「な、なるほど・・・((ばかばか。言われたことに感心してどうするのよ。))
あの、ユウヤさんはかなり私のことを調べられたのはわかりましたけど、私にパソコンを1台用意してくれませんか?
私もあなたのことを知りたいし、キサラギのことも知りたいし、部屋と仕事を行き来だけなんて軟禁状態と大差がないでしょう?」


「そうですね。すぐに用意します。明日は私も仕事で少し遅くなりますので、外ではデートできませんが、こちらは訪ねますので、そのつもりでいてください。」


ひかるが眠そうに目をこするのを見て、ユウヤは頼まれたパソコンだけ設置するとひかるの部屋を後にしました。


ひかるは飛び起きて、すぐにパソコンで千裕の有能なミセス部下である吉岡にメールを送りつけました。

((吉岡さんなら、千裕様がどこに居ようとも何とか伝えてくれるはずだわ。
3か月別居になることと、危ないことはしないことはしっかり伝えなきゃ。
えと、ここの名前と住所もいちおう送っておこうっと。))



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