元気あげます!巴里編
翌日、すべてが夢のようであったかのように、いつもの出勤前風景があって、時間がすすんでいきました。


しかし、夜は違っていたようです。


ひかるが学校を出て歩きだすと、ひかるの進行方向に高級車が止まり、ユウヤが降りてきました。


「あ・・・」


「お疲れ様。早速、調べさせてもらってやってきたよ。
日中はパティシエ、夕方から専門学校、その後帰りに少し買い物をして帰宅。
千裕がいないときは買い物は省略っと。

今日は千裕はもどらないと思うから、デートには最適のはずですがね。
夕飯まだでしょ?どうぞ。」


「あの、千裕様がもどらないってどうして・・・?」


「それはあなたが調べることなんじゃないですか?
しかるべきところに連絡とれば簡単にわかるでしょう。」


ひかるは裕樹に連絡して恐ろしい事実を知りました。
銀行部門の大株主の名前がキサラギコーポレーションになっていて、裕樹と千裕は詳細の解明をしているのだということでした。


「お願いですから、こういうことは絶対やめてください。
私は約束はきちんと守ります。
もし、どうしても、何の落ち度もない三崎の社員を苦しめることをなさるというなら、私はあなたの経営しているホテルで死にます。」


「おぉ・・・それは困ります。
あなたの覚悟は十分わかりました。
私にとってはあなたが誠実に考えてくださったことは頭ではわかっているんだけど、婚約者の人や他のとりまきたちを気にしないわけにもいかないわけで。

そう思うと、先にどうしても手を打っておかなくてはいけないと焦ってしまいました。
許してください。
すぐに会社については手をひかせます。」


ユウヤとひかるは食事をした後、ユウヤの仕事場兼住まいのあるホテルの部屋に行きました。


「明日から、ここからケーキ工房へ通ってください。
生活に必要なものはすべてそろうようにしておきます。
なんなら、お気に入りのものを取りに行くのだけは許可します。
そのときは、私がついていきますがね。」


< 49 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop