元気あげます!巴里編

「わかった。社長である私の目を盗んで、組織を動かされるのは私の地位にも響くことだしな・・・。
そこは、息子に手出しできないようにしよう。
だがな、私は自由恋愛主義者だから、我が息子がそのお嬢さんの心を射止めた場合は、もう話など聞かんぞ。」


「わかりました。僕もこれで全力で戦えますから、彼女を譲る気などありません。
では、用件はこれだけですので、失礼いたします。」



ヒイロ姿の千裕が1階に降りると、そこにひかるが心配そうな顔をしていました。

「ひかるっ!・・・あっ、近くにユウヤはいるのか?」


「いえ、ユウヤさんは上から2番目の階のお部屋にいるわ。」


「じゃ、このまま帰るぞ。」


「えっ?だってそんなことをしたら・・・」


「大丈夫。さっき社長と話をつけてきた。恋愛は自由だが、組織は勝手に動かせないようするそうだ。
キサラギは取締役会で会社がすべて決まるから、ユウヤがあまりに勝手なことをやるようなら、社長といえども失脚させられるからな。」



「でも・・・何もいわずにこのまま帰ったりしたら、ユウヤは納得しないと思うし。」


「何言ってんだ?そういうことを律儀にやってやる必要なんて、ひかるにはないだろ。
それとも、ユウヤを好きになったのか?」



「好きっていうんじゃないけど・・・放っておけないっていうか、気になるっていうか・・・。」


「せっかく助けにきてやったのに、まだそういうこというなら、もういい。
俺は帰るからな。
泣きを見ても知らないぞ。」



「あっ・・・千裕様ぁ。
もう。帰りたいに決まってるのに・・・。
いぃーーーーーーーだっ!」


ひかるは、自分の用意された部屋へともどっていきました。

もどるとカギが開いていて、ユウヤがベッドに座っていました。



「え、ユウヤさん・・・。」


「やっぱり、今日がいちばんの落とし所かと思ってね。
さぁ、おいで。」



< 63 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop