元気あげます!巴里編
「あっ・・・ユウヤのお父さん!
でも、どうしてそんな人とカールが?」


「そんな人っていわないでよ。
もう僕たち3年以上のつきあいになるんだから。」


「そ、そう・・・そうなの。あはは・・・
ごめんね。こみいったこと聞いちゃって。
((女性を愛せないって・・・まさかカールの恋人だなんてねぇ。))」





その頃、千裕は事務所の応接室で自分の正体を明かしていました。


「チヒロ・ミサキ。コトミの孫だね。
変装までして私を訪ねてきた理由は?」


「じつは、あなたの息子であるユウヤ氏が私の婚約者を3か月預かるといって連れ去ってしまったのです。
3か月のうちにお互いの情報をわかりあって、結婚すると一方的に言いました。」


「うちの息子に君の彼女が寝とられたからといって、それが合意の上ならどうしようもないことじゃないのかな?
君だって何の対策もうってないようだし、男としてはふがいないな。」


「個人的に彼女を取り返すことは可能ですし、彼女も僕を信じてくれています。
問題は、あなたの息子さんが彼女を差し出さないと会社に圧力をかけてくるという手をつかってくることなんです。

何の関係もない会社と社員、そしてその家族を自分の恋愛ゲームに利用するというのはいかがなものでしょうか?」



「なんと・・・。恋のために会社圧力ですと?」


「そうです。僕が経営している会社はおたくに比べればとても小規模で相手にもならないはずです。
だからといって、その大きな力を僕の婚約者を奪うために使うというのはキサラギでは当たり前なのですかね。」


「べつにかまわんと言ったら?」


「僕も大切な人を守るため、マスコミにすべてを公表します。
いや、それより前に最愛の人を助け出しますけどね。」



「最愛の人か・・・。もう一度聞くが、君の婚約者はうちの息子の方を選んだのではないんだね。」


「はい。僕の会社と社員、そして家族を守るため、ついていっただけですから。」


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