元気あげます!巴里編
琴美は千裕が家に入ったのを見てから、ひかるに小声で言いました。


「予定通りうまくのってきてくれてよかったわ。
でも、あんなに素直な千裕になってしまって・・・うれしいはずなのに、なんかね。
うっっ・・・いつもどこかでクソババア扱いしてるようなギラギラした千裕が年寄りみたいに丸くなってしまったみたいで。」


「琴美さん・・・((クソババア扱いしてることまで見抜いていたのか・・・。))
とにかく、元気出しましょう。
私を守ったせいで、こんなことになってほんとにごめんなさい。
でも、私あきらめていませんから。
忘れたものは取り返せばいいんです!
私はそう思ってがんばりますから・・・支えますから。」


「ひかるが謝らなくていいのよ。
千裕があなたを救わなかったら命がなかったんでしょう?
2人とも生きてるんですもの。
千裕は私に似て、天才なんですもの・・・もう一度お勉強を少ししたら、記憶なんてなくても余裕で生きられるはずです。

ただね、千裕も気にしていたようだけど、千裕のためにがんばりすぎて、あなたが壊れてしまわないように気をつけるんですよ。」


「はい、ありがとうございます。じゃ、明日からよろしくお願いします。」


「まかせて。私も近しい者には事情を言って時間をあけるようにしたから、あなたは学んで来なさい。」


「はいっ!」



ひかるは琴美がいろいろ手をうっておいてくれたことに感謝して、台所に行きました。

すると、千裕が冷蔵庫から材料をとりだして、調理にかかっていました。



「疲れてるのに、無理しなくていいよ。私がやるから・・・」


「それはこっちのセリフ。
僕のために、いろいろやってくれたんでしょう?
明日からだって修行と勉強に行かなきゃいけないんだから、家事は僕にまかせて。」


((あの・・・これじゃ、以前とほとんど変わらないんですけどぉ・・・))

「そんなにいうんだったら、じゃ、甘えちゃってもいいかなぁ・・・なんて。」




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