赤い糸は意外な所に・・・
「さて、訳をきかせてもらおうかしら。」

涼は少しの沈黙のあと、姉に自分の考えをすべて話した。

「・・・そう。そんなことを考えていたのね。まあ、まさかこんなに早く実行するとは思っていなかったけど。覚えている?あなたが五つか六つのころ、“大きくなったら武士になって旅をしながら悪人を成敗したい”って言ってたのよ。少し内容は違うけど、武士になりたいっていうのは変わらないようね。」

「姉上。馬鹿な考えだろうけど、私は姉上がなんと言おうと気持ちを変えないから。」

「私は、正直武士があまり好きではないの。でも人の志を邪魔する気はないわ。・・・いってらっしゃい。ついでに風八も連れてってやって?」

「姉上・・・ありがとう・・・。」

涼は旅のときは涼之助と名乗ることにした。そして甥の風八を連れ、道場をあとにした。

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