飴色蝶 *Ⅰ*
そこへ、遅れて要が現れた。

要の姿に驚く連中。
   
伊納組、組長の顔色も変わる。

「カナメ・・・」

「兄貴、遅れてすみません」

「カナメ、もうすぐ話は終わる
 お前は、この店の片付けを
 手伝ってやってくれ
 お前らもだ」

「はい」

「話はまだ、終わって・・・」

庵は、正二が惚れ込んだ
あの父親と同じ瞳で
伊納組、組長を見つめた。

その瞳に魅入られたものは
動けなくなる。

「しつこいと、今日の俺は
 何するか分かんないよ」 

「今日のところは、引き上げて
 やるが、また近いうちに挨拶
 に伺うので待ってろ
 
 会長さんにも宜しく」

そう言って、伊納組は帰って
行った。

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