飴色蝶 *Ⅰ*
「サラ、先に帰ってごめんね」

「ううん・・・
 
 スミレ、本当にいいの?」

私の手に触れる更紗の手が

少しだけ、震えていた。 

私は、更紗を見つめて言う。

「やっぱり、私は
 
 イオリ先輩の事が好き」
 
「なら、何も言わないよ」

彼女は、笑った。

タクシーが、アクセルを
踏み込んで走り出すように・・

私の胸の奥深くに

閉じ込めていた想いは

溢れ出し、庵へと走り出す。

もう、止められない。
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