飴色蝶 *Ⅰ*
「心配するな
 俺は、大丈夫だ」
 
「いってらっしゃい」
  
笑って、貴方を送り出して
あげなきゃいけないのに
私は不安で、上手に微笑む事
ができないでいた。
 
彼は、階段を降りて行く。

閉まるドアの前、さっきまで
庵が立っていた場所に、私は
立ち尽くす。

私が、庵に問いかけようと
した言葉。

『抗争は、いつまで続くの
 ・・・そして
 いつ、終わるの?』

そんな事、誰にも分からない。

彼にさえ、分からない。

貴方を失うのが

怖くて堪らないよ。

不安に押し潰されそうで

胸が苦しい。
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