前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―
母さんと鈴理先輩が何を話したか、ちょっと気掛かりではあるけど、「優しいお母さまだな」と言われて俺は凄く気分が良くなった。
親のことを褒められると凄く嬉しいんだ。
だってあの二人は、一生懸命俺のことを育ててくれた大切な人達だから。
「凄く優しいんっすよ。自慢の両親です」
「そうか、それは御両親もそう言ってもらえて嬉しい限りだろう」
目尻を下げてくる鈴理先輩に笑みを返した、直後、俺はさっき見た夢のことを思い出した。
そういえば、俺、どうして公園の夢を見たんだろう。
そしてどうして、今の親の子供になる夢を見たんだろう。
「どうした空?」
ぼんやりとする俺に声を掛けてきた鈴理先輩に、「いえ」俺は曖昧に笑ってみせた。
「ちょっとさっき見た夢を思い出して。なんだか変な夢なんです。公園で遊んでいるんっすけどジャングルジムから落ちて、そして場面が変わって今の両親の子供になる。一貫性の無い夢でした。なんであんな夢を見たのか」
腕を組んで首を傾げる俺は気付かなかった。
鈴理先輩がやや哀しそうに、微苦笑交じりに俺を見つめていることを。
「ほら、冷めるぞ。まだゼリーも残っているんだ。しっかり食べて寝る。そしてあたしに食われる。いいか?」
「よくないです」
「何が不服だ?」
「全部っす!」
俺は知らなかったんだ。
鈴理先輩が母さんから、俺さえ知らない事実を聞かされていたことを……俺はまったく知る由もなかったんだ。