前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―


デートといえば、定番の食事、映画館、動物園、水族館、遊園地にショッピング等々が思いつく。


初デートに浮かれていたけれど、具体的に何も予定を立てていないのは男として減点ものだろう。


予定を立てるのは男の仕事。

いくらカノジョポジションとはいえ(しかも年下)、豊福空は男。

できることなら彼氏としての務めを果たしたい。


フライト兄弟に相談すると「取り敢えずラブホだけはやめとけ」と助言をちょうだいした。

お、お前等……俺をどういう眼で見ているんだい!


俺は健全な関係を求む。

性欲がないわけではないけれど、そういう行為を知識として知ってもファンタジーな世界としか認識できない。

俺が典型的な草食系男子だからだろうか?


アダルトな世界を知るのは先でいいと思っている。


片隅で面倒事はごめんだと思っているからかもしれない。

世間体的に責任を取るのは“男”だもんな。

情事の気遣いを回すのも“男”。家庭を養っていくのも“男”。


いくら男女平等とはいえど、“男”の地位は“女”よりも大きく責任も重い気がする。


なにより俺自身、彼女の傍にいて和気藹々と日常を過ごす方が楽しい。

つまりは性欲が湧いてこな以下省略。


これって男として終わり疑問符………ま、まあ、それは置いておいて、今は予定について悩もう。


「お嬢様を喜ばせるデートスポットってどこだろう? お金持ちはある程度、行き尽くしている気がする。こんなことなら本人に直接、行きたい場所を聞けばよかったな」


山手線を使って渋谷にでも行くべきか。


池袋や新宿も考えるけれど、あそこに行ってどうするよ。


それこそ買い物か?

貧乏君には縁のない場所だし、行ってみたいけど、金銭的な問題が出てくる。


俺の財布には樋口一葉さんが一枚。


学生としては大金、俺にとっても大金なのだけれど、お洒落な街で悠々と買い物できる金額ではないのである。これでも奮発している方だ。

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